目次
育毛のポイント
脱毛症の種類
脱毛に傾く生活の要素
髪に関与する因子
男性型脱毛症の基本的なメカニズム
男性ホルモンについて
5αリダクターゼについて
テストステロンについて
デヒドロテストステロンについて
TGF-βについて
ミノキシジルについて
血管再生系
血管強化系
血行促進系
毛母細胞活性化系
休止期から成長期に移行系
ストレス緩和系
効果のあるかもしれない物質
分化のシグナリング
育毛のポイント
まずは脱毛に関わる因子が一つではないことを理解することが大切です。一通り目を通したあとにまたこの「育毛のポイント」に戻ってきて下さい。
例えばDHT(デヒドロテストステロン)を抑えることを目指すにしても、シグナリングカスケードの前に位置する5αリダクターゼを阻害する、直接DHTを阻害する、シグナリングカスケードの後ろに位置するTGF-βを阻害する、といういくつかの方法が考えられるかと思います。そしておそらく一つだけに対処をするよりも全てに対処するほうが効果を出せることでしょう。DHTだけでもいろいろな対処法がありますが、それだけではなく頭皮に栄養を運ぶために必要な血管、血流系の改善にもいくつかあります。同様にこれに取り組むにしても一つだけではなく網羅的に取り組むことで効果を上げることができることでしょう。
大きく系を分けると、
1)DHT系(脱毛に関わるシグナリングを抑制する)
2)栄養系(髪の毛の材料をしっかり補充する)
3)血管系(栄養を運ぶ経路をしっかりする)
4)ストレス系
5)生活系
に分けられるかと思います。
脱毛症の種類
1)AGA(androgenetic alopecia、男性型脱毛症)
2)円形脱毛症
3)脂漏性湿疹
4)抜毛症
脱毛に傾く生活の要素
1)夜更かし(睡眠不足ではない)
2)過度の飲酒
3)運動不足
4)パソコンによる目の疲れ
5)ストレス
6)ひどい肩こり
髪に関与する因子
【育毛に関与】
FGF-7(えふじーえふせぶん)
毛母細胞の増殖・分裂を促すことで毛髪成長させる。
IGF-1(あいじーえふわん)
休止期から成長期に移行させるシグナル
VEGF(ぶいいーじーえふ、ばすきゅらーえんどしーりあるふぁくたー)
血管新生
FGF-2(えふじーえふつー)
VEGFでできる毛細血管より太い血管を生む。
HGF(えいちじーえふ)
細胞増殖促進
PDGF(ぴーでぃーじーえふ)
成長期の維持
Wnt(うぃんと)
髪の毛を伸ばすシグナル
【脱毛に関与】
TGF-β1(てぃーじーえふべーたわん)
退行期移行シグナル
FGF-5(えふじーえふふぁいぶ)
DKK-1(dickkopf-1)(でぃーけーけーわん)
毛が退行期に入るのに関わる
毛が伸びる方向に働くWntの邪魔をする
男性型脱毛症の基本的なメカニズム
テストステロンから5αリダクターゼによって作られるDHT(デヒドロテストステロン)がアンドロゲンレセプターに結合しTGF-βを放出することにより発毛抑制をする。
男性ホルモンについて
1)男性ホルモンにはテストステロン、アンドロステネジオン、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)がある。これらの総称をアンドロゲンと呼ぶ。
2)25歳を機に年10%の割合で男性ホルモン値は低下していく。
3)アロマターゼは男性ホルモンを女性ホルモンに変換する。
4)男性ホルモンが減ると、それらを補うためアンドロゲンレセプターが異常増加する(感受性が高まる)。
5)アルコールは代謝の過程で肝臓内で男性ホルモンを女性ホルモンに変換する。
6)恋愛や闘争心でテストステロンは増加する。
7)筋トレなど激しい運動でも男性ホルモンは分泌される。
8)亜鉛が男性ホルモンを増やす。
9)男性ホルモンはストレスが原因で分泌量が減る。
5αリダクターゼについて
Ⅰ型とⅡ型が存在する。
脱毛する部分にはⅠ型とⅡ型が存在している(前頭部、頭頂部)
【阻害剤】
1)フィナステリド
Ⅰ型を約30%阻害
Ⅱ型を約70%阻害
2)ノコギリヤシ
Ⅰ型を10~40%阻害
Ⅱ型を40%阻害
1日500mg~1000mgの摂取
前立腺肥大に対しては360mgの摂取
3)亜鉛
4)カルダモン
5)クローブ
有効成分はオイゲノール
テストステロンについて
1)髪の毛を太くする
ジヒドロテストステロンについて
1)アンドロゲンレセプターに結合するとTGF-βを放出させる。
【ジヒドロテストステロンの阻害法】
緑茶すすぎ
TGF-βについて
1)ヘアサイクルを退行期に移行させる因子。つまり発毛抑制に関わる因子。
【阻害剤】
ウコン(クルクミン)
甘茶
ミノキシジルについて
1)ミトコンドリアATP感受性Kチャネル開放→アポトーシス抑制
2)毛乳頭細胞のスルホニルウレア受容体結合→IGF-1,VEGF産生
3)プロスタグランジン合成酵素1を活性化→PGE2が上昇→毛上皮細胞を増殖
4)薬局で購入できる。商品名リアップ。リアップにはミノキシジルが1%のもの(商品名:リアップ、リアッププラス、リアップジェット、リアップリジェンヌ)と5%のものがある(商品名:リアップX5)
リアップ
一番最初に発売されたリアップ。ミノキシジル1%。一番基本的なリアップ。
効果が見られるまでに約6ヶ月かかる。使用をやめると元にもどる可能性が高い。
リアッププラス
ミノキシジルだけではなく、頭皮の環境を整える成分が追加されている。血行促進、皮脂の酸化を防ぐビタミンE配合。
リアップジェット
噴射式リアッププラス。
リアップリジェンヌ
女性用リアップ。香りが工夫されている。
リアップX5
ミノキシジルが5倍入っている。効果が見られるまでに約4ヶ月かかる。1%よりも効果が期待できるのでこれが現在はスタンダード。
血管再生系
1)ミノキシジル
2)紫外線
血管強化系
1)シナモン
1日0.6g
2)蕎麦
3)ローリエ
血行促進系
1)運動
2)カプサイシン
3)たまねぎ
4)青魚
5)ビタミンE
毛母細胞活性化系
1)FGF-7
アデノシン
ゲンチアナエキス
2)運動
休止期から成長期に移行系
1)IGF-1
ミノキシジル
カプサイシン
唐辛子2gに相当するカプサイシン=6mg
イソフラボン
大豆30gに相当するイソフラボン=75mg
ローヤルゼリー
ストレス緩和系
1)運動
ランニング30分
2)ローヤルゼリー
3)シゴカ(エゾウコギ)
効果のあるかもしれない物質
1)ソウハクヒ
TGF-β1を抑制
2)加水分解卵殻膜
FGF-7を増加
3)ゲンチアナエキス
FGF-7を増加
4)アロイン
5)ごま
6)センブリ
7)ビオチン
8)L-リジン
1日1000mg
9)プラセンタ
10)CoQ10
11)みかんの精油(d-リモネン)
5αリダクターゼ阻害、血行促進
12)キウイ種子抽出エキス
5αリダクターゼ阻害
13)チョウジエキス
5αリダクターゼ阻害
14)ビワ葉エキス
5αリダクターゼ阻害
15)レスベラトロール
5αリダクターゼ阻害
分化のシグナリング
毛包幹細胞→毛母細胞前駆細胞→毛母→毛
anderogenは、毛乳頭細胞が出す因子(毛包幹細胞を毛母細胞前駆細胞へと変化させる因子)を抑制する。